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大学病院のベッドで目覚めると、20人ほどの医学生に囲まれていた。

 医師が「この人の症状は……」と説明を始め、学生たちはチラチラと自分を見ながらメモを取り、気遣う言葉もなく立ち去った。

 青森県むつ市の角本沙織さん(25)は性分化疾患の一種「先天性膣(ちつ)欠損症」だ。

 高校3年の夏、初潮が来ないため産婦人科で検査を受けて分かった。

 自宅から離れた大学病院で膣の形成手術を受けた。

 「珍しい症例なので記録を残したい」と言われ、「他の患者の役に立つなら」と受け入れた。

 だが、あまり年齢が違わない学生たちの視線は耐え難かった。

 「自分はモルモットじゃない」。ベッドのカーテンを引き、声を殺して泣いた。

 体外受精で帝王切開すれば出産は可能だが、子宮や卵巣の発達が不十分なためリスクを伴うと説明された。

 病棟の産科から赤ちゃんの泣き声が聞こえてくる。

 わが子を抱く母親に自分との違いを見せつけられ、うらやましくて、悔しかった。

 病気のことを親友にも言えずに高校を卒業した。

 バーテンダーを目指し東京の専門学校に進み、大手町や銀座のバーでシェーカーを振った。

 男社会に食らいついていくのは心身ともにつらい。

 彼氏への「子どもを産んであげられない」との負い目も重なり、19歳でうつとパニック障害になった。

 仕事に出られず引きこもる日々。

 インターネットに明け暮れるうちに、同じ疾患の人が集まるサイトを見つけた。

 苦しいのは自分だけではなかった。思えばバーテンダー時代に出会った客たちも、それぞれに悩みを抱えていた。

 「もう無理するのはやめよう。子どもが産めなくてもいい」

 現実を受け入れてから、気持ちが楽になった。昨春、しっかり体を治そうと実家に戻った。

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