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 銀座のホステス・田中香織さんに対する保護責任者遺棄罪などで、懲役2年6カ月の実刑判決を受けた元俳優の押尾学被告。その控訴審第1回公判が3月22日、東京高裁で開かれた。押尾被告本人は出廷しない中、弁護側はあらためて無罪を主張した。

 控訴審前に発売された女性週刊誌によると、押尾被告は3月上旬に銀座の高級アクセサリーショップで一般女性とデートしているところが目撃されている。そんな押尾被告に代わり証人として出廷した彼の母親が、涙ながらに情状酌量を訴えたが、筆者には茶番にしか映らなかった。4月18日に判決が言い渡されるが、筆者は一審判決の破棄、地裁への差し戻しの判決を切望する。田中さんを死に追いやった押尾被告の罪として、懲役2年6カ月は軽すぎるし、いまだ事件の真相が明らかになっていないからだ。田中さんの遺族の思いも同じだろう。

 田中さんの遺族は、押尾被告に損害賠償を求める民事訴訟を起こして、刑事裁判では明らかにならなかった、押尾の行動と田中さんの死の因果関係を徹底的に追及しようという意思を持っていた。にもかかわらず、控訴審前に民事訴訟を断念すると言い出したという。

押尾学
 遺族と今も連絡を取り合っている、田中さんが生前勤めていた銀座のクラブの関係者から「(田中さんの)お母さんは『何をやっても押尾の判決は覆らない』と周囲から言われたみたいで、『民事で訴えてみても、あの子は帰らない。もう忘れたい』と言って、民事訴訟を起こさないことを決めたようなんです」という報告があったのだ。

 2009年8月2日、田中さんは押尾被告に口説かれて、合成麻薬MDMAを飲まされたことが原因で変死体で発見された。ところが、所轄の警視庁麻布署は当初「事件性がない」ということで、事件を闇に葬り去ろうとした。しかも、遺族が遺体と対面したのは、まるで犬猫でも扱うように麻布署の前の道路だった。遺族が警察に不信感を持ったのは当然だ。押尾被告が1度目に保釈されたときは、泣き寝入りするしかないと思ったという。そのときに、銀座の仲間たちが「民事で押尾を訴えよう」と遺族を励ました。しかし、捜査一課が捜査に乗り出して、押尾被告は昨年1月に田中さんに対する保護責任者遺棄致死罪で再逮捕された。捜査一課は「押尾を10年以上ぶち込む」と遺族を元気づけた。

 起訴後、検察も10年以上の刑を求刑すると遺族に言ったという。ところが、求刑は6年。判決は保護責任者遺棄致死罪が認められず、2年6カ月の実刑判決だった。しかも検察は控訴を断念。押尾側が控訴したが、高裁判決では地裁への差し戻しでもない限り、一審以上に罪が重くなる可能性は低い。遺族は麻布署に次いで、検察にも裏切られたのだ。

 田中さんの死と押尾の行動に、本当に因果関係はないのか? MDMAを押尾が積極的に飲ませたとしたら、彼の問われるべき罪はこの程度では済まされないのではないのか? 部屋を提供した下着通販会社「ピーチ・ジョン」の野口美佳社長にも責任はないのか? ......そういった点をさらに明らかにすべく、遺族は民事訴訟に打って出る予定だったが、この間、遺族側の顧問弁護士とのゴタゴタもあり、なかなか提訴には至らず、前述のように断念する方向だという。一方で、銀座の田中さんの仲間たちは「押尾が微罪で銀座の街を女と歩いているなんて、アゲハ(田中さんの源氏名)は浮かばれません。民事で提訴することを遺族に説得し続けますよ」と言っている。だが、遺族の意向を第三者が強制的に変えることもできない。

 それだけに、可能性は低いかもしれないが、控訴審の判決が地裁への差し戻しとなり、再度審理が行われることを期待したい。
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